本日はいかがなさいましたか?

主な対象疾患と治療法

食道がん

症状

飲食時の胸の違和感、飲食物がつかえる感じ、体重減少、胸や背中の痛み、咳、声のかすれ

検査

食道内視鏡検査、上部消化管造影検査、CT検査、MRI検査、超音波検査、超音波内視鏡検査、腫瘍マーカー検査など

治療

食道がんは、内視鏡的治療や手術治療だけでは治療が困難なことが多いのですが、化学療法、免疫療法や放射線療法を先行させたり、時にはこれらを組み合わせたりして、より高い治療効果を得ることができるようになってきました。当科でも消化器内科医や放射線科医と協力して、これらの治療を組み合わせて治療しています。従来、手術はお腹と胸を開いて行う方法が一般的でしたが、近年は鏡視下手術が食道がん手術に対しても行われるようになってきました。当科でも適応があれば鏡視下手術で行っています。

胃がん

症状

胃(みぞおち)の痛み・不快感・違和感、胸やけ、吐き気、食欲不振など

検査

胃内視鏡検査、生検・病理検査、上部消化管造影検査、CT検査、MRI検査、超音波検査、腫瘍マーカー検査など

治療

我が国では胃がんの罹患率(胃がんになる割合)、死亡率は年々減少傾向にありますが、依然としてがんによる死亡原因のうち多くを占めており、2017年の罹患数は全体で2位(男性で2位、女性で4位)、2017年の死亡数は3位(男性で2位、女性で4位)となっています。病状の進み具合に合わせて適切な治療法が異なっているため、画像検査や詳細な病理学的検査をふまえて治療方針を決めています。病変が早期で内視鏡的治療の適応がある場合は、消化器内科医により内視鏡的切除を行っています。手術に関しては腹腔鏡を用いた手術でも十分な治療が行える場合は、体への負担を軽減するため腹腔鏡下手術を行っています(昨年は8割を腹腔鏡で行っています)。化学療法は、総合的な評価を行った上でその内容を決め、治療経過を見ながら行っています。

大腸がん

症状

血便、下血、下痢と便秘の繰り返し、便が細い、便が残る感じ、おなかが張る、腹痛、貧血、体重減少など

検査

直腸診、大腸内視鏡検査、注腸造影検査、CT検査、MRI検査、腫瘍マーカー検査など

治療

大腸がんは年々増加傾向にあり、2017年の罹患数は1位(男性3位、女性2位)、2019年の死亡数は2位(男性3位、女性1位)となっており、当科でも年間160例を超す大腸がんに対して切除を行っています。早期がんで内視鏡的治療で十分と判断される病変に対しては、消化器内科医により内視鏡的切除を行い病理検査結果に基づいて追加切除が必要な症例に対しては外科的切除を行っています。約15%の大腸がんは腸閉塞の状態(便が出ない、おならが出ずにお腹が張って苦しい、など)が現れてきます。このような場合、早急に手術をしないと腸が破れて腹膜炎になり、生命に危険が及ぶことがあります。それ以外の場合は待機的に手術を行っていますが、近年は可能と判断した症例は腹腔鏡下手術を行っています。肝転移を伴っている場合でも切除可能な場合は一期的に肝臓の切除も行っています。再発の危険性が高いと判断される場合には、化学療法を組み合わせて治療することで再発率を低下させます。新規の抗がん剤、分子標的治療薬、免疫治療の登場により、最近の10年間で大腸癌の治療は飛躍的な進歩を遂げてきました。当初切除できないと思われた症例でも化学療法により切除できるようになる場合もあります。また、直腸がんの場合は、放射線治療など組み合わせることで、できる限り肛門を温存することを考慮し、治療を行っています。

肝臓がん

症状

肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれ、炎症やがんがあっても初期には自覚症状がほとんどありません。

検査

血液検査、腹部超音波検査、CT検査、MRI検査など

治療

以前は、肝細胞がんの多くはB型肝炎やC型肝炎の既往のある障害肝から生じていましたが、最近ではウイルス性肝炎の既往のない人に発生する頻度が増えてきています。その原因として肥満、アルコール、糖尿病などの生活習慣病があげられています。腫瘍の大きさ、部位、個数、肝機能に応じて、手術による切除やラジオ波、マイクロ波などによる焼灼療法、肝動脈塞栓化学療法など肝臓内科医や放射線科医と協力して治療しています。転移性肝癌に対しては時に化学療法を併用して適切な時期に切除を行うこともあります。腹腔鏡手術が可能な場合には、適切な適応のもとに腹腔鏡下肝切除を行っています。

胆道がん

症状

黄疸、右わき腹の痛み、体重減少など

検査

血液検査、CT検査、MRI検査、ERCP、細胞診、組織診

治療

胆道とは、胆のうと胆管のことを意味しています。黄疸を伴っていることが多いため、黄疸を下げる処置を行ってから、手術や化学療法など適切な治療を行っています。

膵臓がん

症状

腹痛、食欲不振、腹部膨満感、黄疸、腰や背中の痛みなど

検査

血液検査、腫瘍マーカー検査、腹部超音波検査、CT検査、MRI検査、ERCP、細胞診、組織診

治療

膵臓がんは近年増加傾向にあるがんの一つで、2017年の罹患数は全体で6位、2019年の死亡数は4位(男性で4位、女性で3位)となっています。早期発見が難しく、診断時に切除できる割合が少ないのが現状ですが、切除可能な方には膵頭十二指腸切除術や膵体尾部切除などの手術治療を行っています。難治性のがんであり術前、術後に化学療法を行うことがあります。また、切除が困難な場合は、化学療法を優先させたり、バイパス手術など行って全身状態を改善しながら化学療法を行ったりしています。2020年の膵臓内科新設により、胆道、膵臓の腫瘍に対し年間約20例の手術を行っています。

胆管炎・胆嚢炎

症状

上腹部の痛み、黄疸、発熱など

検査

血液検査、腹部超音波検査、CT検査、MRI検査など

治療

急性胆管炎・胆嚢炎診療ガイドラインに準じて、発症後早い時期に腹腔鏡下胆のう摘出術や黄疸・炎症を改善するために胆道ドレナージを行っています。

虫垂炎・その他の急性腹症

症状

初めはみぞおちの痛み、むかつき程度の症状ですが、1日ぐらいで右下腹部に痛みが移動します。

検査

触診、血液検査、CT検査、腹部超音波検査など

治療

時間外診療が必要なことの多い救急疾患ですが、たとえ深夜であっても救急外来医と協力して迅速に対応しています。

鼠径ヘルニア

症状

大腿の付け根部分のしこりやこぶなどのふくらみ、不快感や違和感、痛みなど

検査

問診、視診、触診

治療

俗に脱腸とも言われる疾患です。病態に応じて、局所麻酔や腰椎麻酔で皮膚の表面側から治療する術式や、全身麻酔で腹腔鏡を用いて体の内側から治療する術式で手術を行っています。

その他のヘルニア

治療

腹壁瘢痕ヘルニア、食道裂孔ヘルニアなど積極的に腹腔鏡を用いて修復しています。

直腸脱

治療

直腸の支持組織が緩くなり、直腸粘膜が肛門外に出る疾患です。以前は肛門側から緩んだ粘膜を縫縮していましたが、最近では腹腔鏡でお腹の中から直腸をしっかり周囲組織に固定し直す方法で行っています。

痔核・痔瘻

治療

デリケートな部位にあり治療にも専門性を必要とする疾患ですので、複雑な場合は肛門疾患専門病院にご紹介しています。