本日はいかがなさいましたか?

主な対象疾患と治療法

白内障

症状

かすんで見える 光が眩しい

検査

視力検査、散瞳下眼底検査

治療

白内障に対する点眼薬はありますが、症状の改善は望めませんので、視力を向上させるためには手術が必要です。濁った水晶体を超音波が出る機械で砕きながら吸い取り、眼内レンズを移植します。短時間で負担の少ない手術です。

緑内障

症状

視野が欠ける、視野が狭くなる

検査

視力検査、眼圧測定、視野検査

治療

  • 薬物療法
  • 未治療時の眼圧を30%程度下降させるために点眼薬を使用します。3~5種類くらいを限度に増量します。
  • 手術療法
  • 点眼薬を増量しても眼圧が目標値に達しなかったり、想定より視野狭窄が進行する場合は手術を行います。眼球内の水(房水)をより多く排出して眼圧を下げるために、排水溝を拡大します(線維柱帯切開術)。または、房水の排出口を別に作ります(線維柱帯切除術)。その際にバイパスとなる装置(エクスプレス)を挿入する事もあります。

糖尿病網膜症

症状

見えづらい、黒いものが飛ぶ、歪んで見える

検査

視力検査、眼圧測定、散瞳下眼底検査

治療

薬物療法 糖尿病網膜症に効果のある薬物療法は限られています。初期は基本的には内科での血糖コントロールが第一です。
  • 局所注射
  • 糖尿病網膜症により、眼の中心部に水が溜まる事があります(黄斑浮腫)。それに対して眼球と眼の周囲の骨の隙間に針を滑りこませ、懸濁ステロイド液を注入する方法(テノン嚢下注射)と眼球内に浮腫を抑える抗VEGF薬を直接注入する方法があります(硝子体注射)。いずれも外来で数秒で終わります。
  • レーザー治療
  • 広い範囲の血管が詰まり、網膜が虚血状態になってしまった場合は、血管閉塞領域をレーザーで凝固し、大事な部分に血流が集まりやすくしたり、新生血管の形成抑制を図ったりします。
  • 手術療法
  • 血管閉塞が更に進行すると、新生血管や増殖膜という、易出血性でかつ網膜を剥がしやすい(網膜剥離)病的組織が出来ます。それを取り除くには硝子体手術が必要です。基本的に局所麻酔で病状に応じて1~2時間の手術です。日帰りでも出来ますが、数日の入院をお勧めしています。

網膜剥離

症状

黒いものが急にたくさん飛んで見えるようになった、視野の一部分が暗く見える

検査

視力検査、散瞳下眼底検査

治療

  • レーザー治療
  • 網膜に裂け目が出来ただけの場合(網膜裂孔)や極狭い範囲の網膜剥離であった場合はレーザーで周囲を灼き固める事で網膜剥離の進行を食い止められる事があります。
  • 手術治療
  • 基本的には診断がついた時点で手術を行います。若年者の場合は、眼球の外からスポンジを当てて眼球の壁を裂孔に押し当てる事により、網膜裂孔を閉鎖する手術を行います(強膜内陥術)。多くの症例では眼球の中から網膜をくっつける処置を行います(硝子体手術)。

視神経炎

症状

視野の中心が見えづらい、眼の奥が痛い

検査

視力検査、散瞳下眼底検査、中心フリッカー検査、MRI検査

治療

軽症の場合は経過観察で治る事もありますが、早期に視力改善を目指すためステロイドパルス療法を行います。1g/日のステロイド点滴を3日間行い、それを1~3クール行う治療です。

ぶどう膜炎

症状

見えづらい、充血する

検査

視力検査、眼圧測定、散瞳下眼底検査、全身検査(血液検査、レントゲン、心電図)など

治療

眼の中に炎症が起こり、眼の中が濁ったり、出血したりする疾患群です。全身疾患の一症状である事も多いです。特にベーチェット病、サルコイドーシス、フォークト・小柳・原田病が代表的な疾患です。内科と連携して原疾患の治療を始めるとともに眼局所治療を行います。
  • 薬物療法
  • 軽症の場合はステロイド点眼で治療します。点眼だけで効果が乏しい場合はステロイドの内服や点滴治療を追加します。
  • 手術療法
  • 内科的治療でも眼球内の濁りが大きく視力に影響する場合は手術で濁りを取り除きます(硝子体手術)。濁りの成分を検査する事で診断につながる事があります。特に眼内悪性リンパ腫では診断効果が高いです。

甲状腺眼症

症状

眼が出てきている、たぶって見える

検査

眼球突出度検査、眼球運動検査、血液検査(甲状腺ホルモン値、抗体値)など

治療

甲状腺機能亢進症の代表的な眼合併症です。眼球周囲の筋肉が炎症によって腫れて太くなってしまったため、眼球のくぼみ(眼窩)に眼球が収まりきれなくなって前に押し出される状態です。
  • 薬物療法
  • 内科と連携し、甲状腺ホルモン値を正常化します。ただし、甲状腺ホルモン値と眼球突出の程度は連動しないため、眼科だけで治療を継続しなければならない事があります。治療の第一はステロイド(パルス)治療です。病状に応じて投与量は変わります。
  • 放射線療法
  • ステロイドの効果が乏しい場合は、眼球周囲の筋肉に放射線照射を行います。1か月くらいかけて照射を行います。

ドライアイ 涙道疾患

症状

眼が乾く、涙が溜まる

検査

角膜染色検査、涙道通水検査

治療

ドライアイに対してはヒアルロン酸に代表される潤うための点眼薬を使用します。重度のドライアイの場合は、涙の排水溝(涙点)に蓋をして涙が溜まりやすくします。ドライアイとは眼が乾くという事ですが、軽度のドライアイの場合は、潤そうとして通常より涙の量は増えます。乾燥しているのに涙が溜まるという一見矛盾したような状態になります(流涙症)。流涙の原因としてはドライアイ以外に鼻涙管狭窄症・閉塞症があります。鼻涙管に水を通して詰まっていないか確認した後、程度に応じてチューブを通して広げる治療を行います。手術が必要なほど重症の場合は大学病院にご紹介します。