本日はいかがなさいましたか?

主な対象疾患と治療法

未破裂脳動脈瘤

症状

ほとんどの場合自覚症状なし

検査

MRA検査、CTA検査、脳血管造影検査

治療

未破裂脳動脈瘤が脳ドックなどで見つかる機会が増えています。当院では未破裂脳動脈瘤が見つかった場合、患者さんの年齢や既往(高血圧の有無、過去にくも膜下出血を起こしたことがあるかなど)、生活習慣(飲酒、喫煙歴)、動脈瘤の場所、大きさ、形などの要素を考慮し治療の必要性を検討しています。そして破裂リスクの低い小さな動脈瘤に対しては生活習慣の指導を行ったうえで半年〜1年に1回の定期検査を行って経過を見ていきます。治療が必要な動脈瘤は開頭術(クリッピング術)または血管内手術(コイル塞栓術)の適応となります。当院では主として手術による動脈瘤クリッピング術を行っていますが、クリッピングが困難なケースでは血管内治療可能な施設への紹介を行っています。

くも膜下出血(脳動脈瘤破裂)

症状

突然の頭痛や意識障害など

検査

CT検査、CTA検査、脳血管造影検査

治療

くも膜下出血は脳表面の血管病変の破綻によってくも膜下腔に出血が生じた病態です。くも膜下出血の原因としては脳動脈瘤破裂によるものが最多です。脳動脈瘤破裂では発症から72時間以内の再破裂予防のための手術が必要になります。動脈瘤の場所、大きさ、形などにより開頭術(クリッピング術)または血管内手術(コイル塞栓術)の適応となります。当院では主として手術による動脈瘤クリッピング術を行っていますが、クリッピングが困難なケースでは血管内治療可能な施設への紹介を行っています。手術後も、約2週間の脳血管攣縮期という脳梗塞が起きやすい時期が続くため、これに対する治療が必要になります。

脳内出血

症状

頭痛、嘔気、めまいや意識障害、失語、構音障害、片麻痺など

検査

CT検査、MRI検査

治療

脳内出血は脳実質内に生じた出血のことをいい、血腫により脳組織が圧迫され頭蓋内圧亢進症状や局所神経症状を示します。出血の部位によって被殻出血、視床出血、小脳出血、脳幹出血、皮質下出血等があります。被殻出血、小脳出血、皮質下出血は大きくて意識障害が強い場合などは開頭血腫除去術の適応となります。視床出血と脳幹出血は手術侵襲を加えてはいけない部位なので開頭血腫除去術の適応はなく保存的治療を行います。視床出血は脳室穿破し水頭症を来たせば脳室外ドレナージ術の適応になることがあります。術後も長期間のリハビリを要するため、リハビリ病院に転院となることが多いです。

脳腫瘍

症状

頭痛、嘔気、めまいや意識障害、失語、構音障害、片麻痺など

検査

CT検査、MRI検査

治療

脳腫瘍には良性腫瘍(髄膜種、聴神経腫瘍、下垂体腺腫等)と悪性腫瘍(悪性神経膠腫、悪性リンパ腫、転移性脳腫瘍等)がありますが、当院では外科治療(手術)、放射線治療、化学療法を組み合わせ、それぞれの患者さんに対して最も効果的な治療を行っています。良性腫瘍については腫瘍の大きさや患者さんの年齢、症状などを総合的に考え手術による摘出が必要かどうかを判断します(一般的には良性腫瘍は成長する速度が遅いため、小さければそのまま経過観察する例もあります)。手術は基本的には全摘出を目指しますが、腫瘍の性状や患者さんの状態によっては合併症を最小限に押さえるために部分摘出にとどめることもあります。

正常圧水頭症

症状

もの忘れ、歩行障害、尿失禁など

検査

CT検査、MRI検査、髄液排除試験

治療

近年、治療可能な認知症として正常圧水頭症という病気が注目されています。症状はゆっくりと進行する(数週~数ヶ月)ためなかなか病院を受診されないことも多いです。この病気は、脳や脊髄を循環している脳脊髄液の流れが停滞・貯留することによって起こります。当院ではこの病気が疑わしい場合にはまず試験的に腰から脳脊髄液を排除して症状の改善が見られるかどうかを検査します。検査の結果症状が改善されるようであれば、貯留した脳脊髄液を脳あるいは脊髄から腹腔内に逃がすシャント手術を行います。このシャント手術により症状の改善が期待できます。

慢性硬膜下血腫

症状

頭痛、もの忘れや片麻痺、歩行障害など

検査

CT検査、MRI検査

治療

頭部外傷による微量の出血などが原因で、遅発性に被膜を伴う血腫が硬膜下に形成され、徐徐に拡大していくものです。受傷からしばらく経ってから(3週~数ヶ月)発症し日に日に進行していきます。アルコール多飲者、高齢者に多くみられます。小さくて無症状であれば自然消失することもありますが、大きくて症状をきたしている場合は穿頭ドレナージ術の適応となります。